• 記事検索
RSS

「動乱による利潤」没原稿

 以下は、2カ月前に新聞投稿し、本日現在のところ掲載がありませんので、没となったと思われるものです。


題「動乱による利潤」

 一般的な投資信託(ファンド)とは違い、機関投資家や富裕層から資金を集めるファンドを、ヘッジファンドというらしい。軍事力を行使し、世界各国から投資マネーを引き上げられようとされているロシア。引き上げるとは、ロシアの株や債券を売却するということで、こんな時にそんな危ないものを買い取る所があるのかと素人的には考えるが、その買い手となるのが、ヘッジファンドの一部と報道されている。連想したのは、ハゲタカファンド。不良債権(破綻や悪い業績の会社)を安く買い、再建して価値を高めた後、比較的短期間で売却して利益を得るというもので、企業再生又は企業買収のファンドと言われている。

 ロシアの株や債券に、利潤のうまみや可能性を、機関投資家や富裕層は見込むところもあるのだろう。生活費を工面する日々の我が身には、なんともやるせないが、それが現実だと思う。

 背に腹は代えられないロシア。通貨ルーブルの相場が下落し、インフレが強まるとロシア国民の不満が爆発する。対策として外貨を獲得したい。虎の子として買い増して来ていて、この10年で3倍の保有量(2300トン)となっている金の売却をロシア中銀が考えるのは至極自然だ。では、金の現物の市場を閉ざされているロシアに対して、どこがその金を買ってくれるのか。制裁に加わっていない国などが考えられているが、金売却がなされるなら、おそらく、市場価格よりも安い価格で合意されるのだろう。国際通貨である金はその出自を問われない。何なら改鋳してもいい。そして、それを行うところには、規模の大きな利潤が生じるのだろう。これもまた、やるせない。

 動乱による利潤は、どこのなにを太らせるのだろうか。

(文字数は、699文字です。)



コメント
name.. :記憶
e-mail..
url..

画像認証
画像認証(表示されている文字列を入力してください):