醤油は何色か。
赤橙色の液体をそっと揺らすと、ときに艶やかな光を放つ。
どこかで見た色。
そう、ほの暗い木樽にじっと寝かされたウイスキーやワインと同じ輝きだ。
そう、
「クラフト醤油 赤橙色の誘い」(2023.3.26日経のこんな日曜日が待ち遠しい。)の冒頭にありました。
3日ほど前、家人が飲め飲めというので、ディスカウント店から購入したという箱のワインを緩やかに注いでいると、その赤ワインの色が、とてもきれいだと感じました。
(アルコール自体は、昨年3月より基本的に止めていますが、付き合い的に時々少々。)
確かに、赤橙色と言えるような。
セキトウショク あかだいだいいろ
やや赤みの濃い橙色と説明されていますが、
赤ワインの、黒い方側に相当寄っている赤橙色のなかで、
注がれた液体の、
水深が浅く、表面張力で上に引き上げられているあたりや、
緩やかに雫の垂れてくれているその一滴一滴の縁(ふち)のあたり、
光が透過してくれて、赤みの橙色が増す。
黒側から橙色側に寄って来てくれる色となる。
ペットボトルで購入した無糖コーヒー。
今、目の前、手にしているガラスコップに入っている。
太陽色に近づけているというライトに透かす。
浅いところは、黒い中でも、赤色がある。
これも、悪くない。
飲まなくなってしまったけれど、相当量あるウイスキーの瓶達。
お気に入りのメーカーであるニッカ。
箱入りの瓶を、ごそごそ、出して、ライトの近くに。
暗い中から取り出されて、眩しそうながらも、
こちらは、薄いだいだい色にほんの少し黒めがある。
表示されている YEARS OLDを超えて、誰かに開封され愉しまれる時を、僕は共有することができるだろうか。
ただ、ワインなどと比べれば、色としては、薄くて、頼りない。
はてさて、
醤油。
この、とてもおいしくて、魅力的な液体。
蒸した大豆と炒った小麦に種麹(たねこうじ)を加えて室で寝かせ、塩水と一緒に木桶などに仕込む。攪拌などの手間をかけて、1年以上発酵・熟成させる
そうです。
色も、コーヒーに似ているような。
色の正体は、麹菌の働きで、糖とアミノ酸によるメイラード反応物質のメラノイジン。
たぶん、醤油のおいしさは、取り込まれにくい窒素(なにせ3重結合のN2なので)を含む、アミノ酸に由来するような。
だから、褐色や黒色、赤みのあるそれらの色をもつ物質は、
生命として必要なものであることを、体は知っているから、
美味しかったり、
美しく見えたりするような。
そんなことをおもってしまいました。
「おもし=新聞記事などを読んで、おもってしまったことです。)」