銀行さんのBS(バランスシート・貸借対照表)を初めて目にしたときは、
それなりの違和感がありました。
なんでなら、
借方(かりかた、左側、資産の現状を示す)に、
普通なら、預金があるじゃないですか。
それが、貸方(かしかた、右側、資産の調達方法を示す)の負債の欄に。
しかも、相当な多額で。
でも、考えてみれば当たり前のこと。
銀行さんは、他人のふんどしで相撲を取っている。
不特定多数の人から広く預金を募りいくらかの利子を払い、
融資や投資との利率差を本業とされている。
一昨日、身近な銀行の2021年度のディスクロージャー誌が窓口にあったので、見てみると、
「負債の部」(右側)に「預金」があり、
その額の5分の1ほどが、「資産の部」(左側)の「現金預け金」にあるぐらいで、
「資産の部」の「貸出金」と「有価証券」が、資産の大部分を占めていて、
それらの原資が、「負債の部」(右側)の「預金」であることがよくわかる。
つまり、
銀行は、流動できる資金を負債の預金額に比べてあまり保有していない。
これは、銀行の本業を行うためには、当たり前のこと。
だから、急激に預金が引き下ろされると、
破綻 する 可能性 がある。
これも当たり前のこと。
「加速する取り付け」(2023.4.10日本海)では、
「こんなに速く抜けていくとは」
預金の引き出しを意味する「抜ける」という表現を使いながら日銀幹部は驚く。
とありました。
貸し出しても、銀行が手にする利ザヤは薄く、0.数%とか。
でも、預かった預金を、ともかく貸し出しや証券などの運用に少しでも回したい。
そして、
当然、銀行からの借り手は、期日まで借りることができる。
それなのに、銀行の負債の預金は、いつでも引き出せる。
定期預金であっても、期日まで待たなくとも、期日の前でも引き出せる。
「抜ける」 いや、「抜かれる」ことを考えれば、安眠できない。
とりわけ、内部に心配事情がある銀行では、
米国やスイスの破綻銀行の幹部の方もそうだったのかなと思いますが、
苦しい夜もあるのだと思う。
苦しくなって、貸し剝がしを行いたくても、
借り手の信用を壊してまで銀行に尽くそうとしても、
「抜かれる」速度に追いつけない。
そんな時代。
では、
バブル崩壊の時だったかな、厳しい貸し剥がしがあったけれど、
もう、そんなことができる時間的余裕が持てない時代なのだろうか。
米国の預金保険機構は、
以前は、保護する預金の上限は10万ドル(約1330万円)でしたが、
今は25万ドル(約3325万円)。
日本の預金保険機構は、ずっと1000万円が限度額。
日本も、上限アップしたほうがいいとの意見もあるようですが、
1000万円超を保有なされている方は、
おそらく、複数行で運用なされ、何千万円という実態でしょうから、
庶民感覚との二桁以上の差があると思っています。
上限をアップするなら、その分の保険料は預金者負担でいい。
そんな嫌味節も溢(こぼ)したい。
そもそも、抜こうとしたい預金額が僕にはあまりない。
銀行という組織も、
ネット社会の深まりを受けて、
過剰感が、ますます強まる。
そんなことをおもってしまいました。
「おもし=新聞記事などを読んで、おもってしまったことです。)」